作品概要|不倫に揺れる主婦の純愛ラブストーリー

「ふれなばおちん」は、小田ゆうあ先生が『office YOU』(集英社クリエイティブ)で2011年6月号から2015年1月号まで連載した全11巻の少女漫画です。
主婦の日常と揺れる恋心をリアルに描き、実はNHKでドラマ化もされた人気作品です。
小田ゆうあ先生は女性誌を中心に活躍し、デビュー作『君を夏へつれもどす』以来、繊細な感情分析や人間関係の心理描写に定評があります。
最初は一見恋愛関係にならなさそうな人物同士が徐々に惹かれ合っていく描写が多く、恋愛初期のドキドキ感をリアルに体感しながら感情移入して読める作風が人気です。
「ふれなばおちん」の主人公・上条 夏は、優しい夫・義行と二人の子どもに恵まれ、平穏な暮らしをしている40代の主婦です。
結婚以来、家族を第一に自分のことは後回しにしてきた夏ですが、娘からは「女を捨てている」と非難轟々。
「おかあさんはそういうものだよ」と娘に言い聞かせていた夫も、同僚の奥さんを目の当たりにしたことがきっかけで夏のずぼらな身だしなみが気になるようになっていきます。
そんな夏を変えようと、同僚に「妻を誘惑してくれ」と頼んでしまい・・・?!
ネタバレありのあらすじは↓こちら!
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あらすじ|家族のために生きてきた主婦・夏に訪れた「ときめき」
40代の主婦・上条夏は、結婚してからは家族第一で生きてきた極普通の主婦。
夫・義行、娘・優美香と息子・マキオとともに、社宅で穏やかに過ごしています。
夏はスーパーでパートをしながら、家事と育児に奔走しています。誰が見てもごく一般的な主婦の生活――それが彼女の毎日でした。
しかし、ご近所のママ友・小牧さんが不倫をして家を出ていった事件を機に、夏の心のどこかに波風が立ちます。
自分を女として見てくれる存在が遠ざかりつつあることに寂しさを感じていたようでした。
そんなある日、夫・義行の勤めている会社に派遣社員として佐伯龍が配属されてきます。
社宅への引っ越しの挨拶の日から、龍は夏に自然に声をかけてきます。
夫の義行は夏への無関心も垣間見せつつ、「嫁を誘惑してみろ」と冗談めかして佐伯に伝えてしまいます。
これをきっかけに、佐伯は夏との距離感をはかって女性として接することを意識し始めます。
当初はただの主婦と思っていた相手でしたが、実は龍の趣味と不思議なくらい話が合い、映画や舞台の話で盛り上がります。
夏もまた、年下の龍に心を開いていく自分に気づき驚きます。
これまで自分の身だしなみを意識する機会がなくなっていた夏でしたが、龍と接するうちに「女として見てもらいたい」という感情を思い出し、キレイになりたいと思うように――そんな変化を経て、日々が少しずつ変化していく過程が丁寧に描かれていきます。

家庭を最優先しながらも心の奥底で『女性でいる自分』を求めてしまう瞬間のリアルさは、数ある不倫漫画の中でもとてもリアリティがある作品です。
2巻以降のあらすじ|夏と佐伯が両思いに。秘めた関係のままの二人は・・・
社宅暮らしでは、家族やママ友たち、さらに義行の職場の仲間も絡み合い、夏や龍の気持ちがどんどん表に出てきます。
夏の外見や雰囲気の変化に家族や社宅仲間が気づき始め、娘・優美香との関係も微妙な距離が生まれます。
夫・義行からも佐伯との関係を疑われ始めた夏は、家庭を壊したくない、家族を失いたくないという思いや責任感に苛まれながらも、龍への思いを抑えきれずに悩み続けます。
職場では、龍に好意を抱く若林みどりという女性も現れます。
彼らの恋模様がさらに複雑になった折、不倫の末に家族の元から去ってしまったママ友の小牧さんから「覚悟しろ」と警告めいたアドバイスの電話がかかってくる場面も。
誰にもバレてはいけないはずが、少しずつ危険な関係に変化していきます。
このように2巻以降では、家族や友人のリアルな会話や、夫や子どもたちとの生活では満たされず、どこか切ない「主婦としての孤独」が細やかに描かれていきます。
結末・最終巻ネタバレ|「本気の恋」を選んだ夏の最後の決断
最終巻では、夏と佐伯は互いの気持ちを確かめて「一線」を越えるかどうかの綱渡りが続きます。
悩みながらも夏は、家庭と子どもを守ることを最優先にし、その想いを佐伯に伝えることで二人はプラトニックな関係に保ち続けます。
しかし夫・義行の疑念が膨らみ、最後はホテルでの密会中に現場に駆けつけるという修羅場になります。
この修羅場は若林さんの機転によりなんとか鉢合わせを回避。
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夏は佐伯への想いを胸に秘め、最後は家族の元へ戻り、佐伯にも別れを告げることを決意します。
一方で佐伯は新天地・沖縄へと旅立ち、夏は日常の生活に戻るもの、心の底では彼への想いを忘れることができずにいました。
最終巻のラストシーンでは、沖縄で劇団活動をする佐伯が、初公演チラシの搬入途中で、反対車線から曲がってきたトラックと衝突する事故に遭遇。
不倫の「罰」とも取れる後味が悪いラストですが、物語は夏がいつものようにスーパーで夕食の材料を探して日常に戻り、淡い残り韻と切なさを残して終わります。

ラストでは佐伯が交通事故に遭った場面の描写はあるものの、亡くなってしまったかどうかまでは描かれておらず、読者の想像の余地を残す描き方となっています。
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まとめ|女性として、母として、妻として家族のリアルに悩む人へおすすめ
「ふれなばおちん」は、長い結婚生活の中にふと心の揺れぎや、誰にも言えない葛藤を丁寧に描く純愛ラブストーリーです。
家族の幸せと自分自身の幸せ、どちらも本気で願う人なら、きっと「自分にもこんな瞬間があった」「あの切なさ、わかる」と共感できる場面もあるのではないでしょうか。
主婦、母、妻としてだけでなく「ひとりの女性」としての人生も、きっと大切にしていい――そんな、静かで優しいエールが注目された一冊です。
不倫ものながら、最後までプラトニックを貫くところも不倫のドロドロ感がないのもポイント。
心を揺さぶる物語を探している方に、胸を張っておすすめしたい逸品です。
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「ふれなばおちん」は、不倫を扱いながらもドロドロ的な恋愛劇ではなく、家庭と恋の狭間で揺れる主婦のリアルな感情が描かれていて、主人公側を応援したくなる作品です。