ポーカーフェイスな〈沈黙〉の奥で揺れている感情の変化

「こどものおもちゃ」は小花美穂先生の代表作で、多くの少女漫画好きの方は一度は読んだことがあるのではないでしょうか。
この作品は私にとってもトップ10に入るほど好きな作品で、人生で数え切れないほど読み返した作品です。
別記事で、紗南ちゃんの「人形病」についてまとめました。
続いて今回は羽山の心理的な成長・変化について考えてみたいとおもいます。
※あくまで個人的な感想です。
当記事はネタバレを含みます!!
作品を読んだことがない方向けに、簡単なあらすじを別記事で紹介しています。
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羽山の根底にある “繊細さ” と “過去の傷”

羽山は、紗南ちゃんとは対照的に基本的に表情に乏しく、「静」の人物として描かれています。
どちらかというと言葉数は少なく(紗南ちゃんと一緒にいるときは夫婦漫才が成立しますが)、他人に対して距離を置き、自分のペースが乱されることを嫌う少年・・・といった感じでしょうか。
けれどその静けさは、
ただ冷たいためではなく、感情が繊細すぎるがゆえの“自己防衛” に近いのではないか?と思い至りました。
というのも、序盤の羽山こそ虫けらのように冷徹な「いじめっ子」でしたが決して“心を持たない子”ではなかったんですよね。
では、なぜあの「いじめっ子」ムーブに至ったのか?というと、むしろ「心がありすぎてしまう子」だったからなのではと。
羽山の幼少期を描いた番外編「とげとげのタマゴ」 、覚えてますか?
羽山が抱える生きづらさの核には、
幼少期から積み重ねられた「家庭内の不和」がありそうです。
家庭の歪みが生んだ「静かに耐える癖」
母は自分を産んだことで命を落とし、父親は仕事が忙しく不在がちで、実の姉からはいじめられて育った羽山。
3歳のときすでに、家庭の中には甘えられる場所がありませんでした。
それゆえ羽山は、甘えても応えてもらえないことをわかっていて、
「感情は出さないほうが楽である」
という結論に至ったのかなあ、と。
まだまだ甘えたい年頃であるにもかかわらず、理不尽に姉からいじめられるミニ羽山がかわいそうです・・・。
羽山が “怒り” で伝えようとしてしまう気持ちの回路
羽山は本当は人の言葉に敏感なタイプなのではと思います。
というのも、羽山には時折、強い怒りが現れる場面がありますよね。
学級崩壊で担任や同級生をいじめて楽しんでいたとき。
紗南と離れ離れになり、風花や剛くんたちと行ったゲームセンターで見知らぬ学生と喧嘩になったとき。
ただしその怒りの発生源は単なる「破壊衝動」ではなく「抑圧されている状況」の反動だったのかなあ、と感じます。
そして羽山が紗南に惹かれた理由は、
恋愛感情より先に“本気で向き合ってくれる人間に初めて出会ったから”が大きかったのではないでしょうか。
羽山の生い立ちを知り、
「愛してるから産んだのよ」
と母親の気持ちを代弁してくれた紗南。
羽山にとって大切な存在になっていました。
そんな紗南と直澄の熱愛報道を見て、心の何処かで裏切られた気持ちになっても無理はないと思います。
羽山はこのあたりまで、怒りで自分の感情を表現していました。
樹海事件をきっかけに、紗南との関わりで変わる感情表現

羽山は、怒ることでしか自分の感情を表現できませんでした。
それは、恐怖・悲しみ・失望・自己嫌悪といった複雑な感情が、
ひとつにまとまらず“怒り”として噴き出している形。
紗南は、羽山の怒りの奥にある“痛み”を感じ取ることができる数少ない相手。
そのため羽山は、次第に
怒り以外の方法で気持ちを伝えられるようになっていきます。
特にこの変化が見られるようになるのは、小森くんとの事件以降なんじゃないでしょうか。
羽山もまた、人の痛みを理解して初めて、成長したのかもしれません。
(とはいえ羽山は利き手である右手にハンデを負うほどの怪我をしました。かなり痛い目に遭っています。)
羽山が紗南の“弱さ”を受け止め、存在を包み込む包容力

羽山は不器用で、自分の感情に蓋をしがちな少年ですが、
紗南にだけは「行動」で優しさを示します。
羽山は紗南の人形病の場面で、彼女の弱さを真正面から受け止めます。
紗南を“有名子役の明るい紗南ちゃん”ではなく、一人の少女として見ている証。
この羽山の優しさは紗南を愛しているからこそなんでしょう。
口数は少ない。でも、行動が雄弁。(言葉より先に、キスするくらいだし・・・)
- 静かに隣に座る
- 必要なときだけ、ぽつりと本音を言う
- 紗南の無理を止める
- 逃げ場がなくなったとき、そっと連れ出す
羽山は、紗南が“自分に戻れる場所”をつくってくれる存在になっていました。
羽山というキャラクターの描かれ方の核心
羽山秋人というキャラクターを一言で表すなら、「静けさの奥で、誰よりも深く感じている少年」。
彼は“冷徹”なわけではなく、“痛みをよく知っているから慎重”なのです。
羽山を紗南が変えたのではなく、紗南の存在によって自分の心が安心できる“居場所”を初めて見つけた。
その変化が、彼を大きく成長させたんでしょう。
作品の終盤では、1巻からは考えられないほどに大人っぽくなった羽山。
紗南の人形病という障害も乗り越え、右手のリハビリのためロスに旅立ちます。
羽山は、不器用で素直になれない少年ですが、その奥には強烈な「優しさ」「誠実さ」「理解力」が眠っていました。
・感情を抑えるのは弱さではなく、生きるための術だった
・紗南はその殻を刺激せず、ただ静かに寄り添った
・羽山は紗南との関係を通して、自分の感情と向き合う力を取り戻していった
この物語の中で、羽山は「大切にしたい人を守る気持ち」に気づいていく過程が描かれていきます。
その成長は、紗南の“人形病”と並び、「こどものおもちゃ」を名作たらしめる大きな柱のひとつだなのではないでしょうか。
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